5月8日、警視庁新宿署は殺人未遂の容疑で川崎市在住の自称配送業、和久井学容疑者(51)を現行犯逮捕しました。和久井容疑者は同日午前3時ごろ、無職の平澤俊乃さん(25)の住む西新宿のタワーマンション敷地内で待ち伏せし、腹部や首など数十箇所をナイフで突き刺したのです。
平澤さんは約1時間後に搬送先の病院で死亡が確認されました。和久井容疑者は前日の夜から平澤さんを待ち伏せしていたと供述し、マンション1階のコンビニから出てきた平澤さんに声をかけ、犯行に及んだとされています。刺し傷は背中にもあり、逃げる平澤さんを追いかけて刺したとみられています。
和久井容疑者は「お金を取り返すために行った」と供述していますが、2人はもともとガールズバーのキャストと客の関係であり、以前から金銭トラブルが続いていました。和久井容疑者は平澤さんが出した店の常連であり、開店時には和久井の名前で花を贈るなどしていました。和久井容疑者は平澤さんに恋愛感情を抱き、結婚を迫る一方で、自身の車やバイクを売却して約1000万円以上の金を平澤さんに渡していました。警察は殺人容疑に切り替えて捜査を進めています。
実は和久井容疑者は約2年前にも平澤さんに対してストーカー行為を行い、警察沙汰になっていました。和久井容疑者は警視庁人身安全対策課からストーカーの文書警告を受けた同日、神奈川県警川崎署に訪れ、「被害に遭った自分がなぜストーカーと言われなければならないのか」と訴えていました。その後も警告を無視し、平澤さんの自宅を待ち伏せしていた和久井容疑者は、ストーカー規制法違反で逮捕されています。
和久井容疑者の執拗なストーカー行為に悩まされていた平澤さんは、和久井容疑者の申し出を拒絶していました。逆上した和久井容疑者は果物ナイフ2本を所持し、平澤さんのもとに向かいました。
新潟県上越市出身の平澤俊乃さんは、18歳のころから銀座のキャバクラで働いていました。自身のSNSでは、当時の奮闘ぶりを次のように振り返っています。
「毎日出勤して指名のお客さんが重なっても、フリーが来店したら必ず席につき、売上を毎日手帳に書き込んでいました。4ヶ月目でNo.1になり、その地位を貫いていました。」
プロ意識を持つ平澤さんは、早々に自分の店を持つことになりました。2021年の暮れ、上野・仲町通りでキャバクラ「C」をグランドオープンさせました。開店当時は店が繁盛し、シャンパンボトルを開ける音が絶えませんでした。
しかし、翌年の夏前には警察が店を訪れ、ストーカーについて新宿署に相談している声が漏れ聞こえてきました。その後、店は休業がちになり、最終的には2023年1月に閉店しました。
事件後、小誌記者は平澤さんの祖父母のもとを訪れました。平澤さんの祖父は、憔悴しきった様子で「可愛い孫でしたよ……」と涙ながらに語りました。
この身勝手な行為で命を奪われた平澤俊乃さんの人生は、25年という短いものでしたが、多くの人々に愛される存在でした。今後、和久井容疑者には厳しい裁きが下されることでしょう。