ジャニーズ事務所の創設者であるジャニー喜多川(日本名の本名:喜多川 擴。英名の本名:ジョン・ヒロム・キタガワ)に関して、未成年の男性タレントに対する性被害が存在し、その数200人以上と言われています。
ジャニー喜多川の性加害はジャニーズ事務所を設立した1960年代からすでに始まっており、最近では元ジャニーズJr.の岡本カウアンさんや橋田康さんらによる会見で、詳細な情報が世間に認知されつつあります。
また、ジャニー喜多川に関する告発本や、元ジャニーズJr.の証言だけではなく、実際に性被害に関する裁判が行われていた過去から、ジャニー喜多川による性的問題は深刻性が示唆され、国際問題にまで発展しています。
この問題は長い間日本国内で無視され、報道機関や関係者が沈黙を守ってきたことや、ジャニーズ事務所の業界支配やビジネスモデルにより問題が見過ごされていたこと、そしてジャニー喜多川が少年を選別してデビューさせる過程と、その少年たちへの性的虐待との関連があったことから外部に漏れなかったとされています。
この記事では、そんなジャニー喜多川が少年たちに行った性加害の内容を解説しています。
性的ハラスメントは1960年代から始まっていた
ジャニーズの起源は、ジャニー喜多川がマネージャーをしてた野球少年団のなかから4人を選び出し、エンターテイメント事業に乗り出したことが始まりです。
そして、選び出された4人がジャニー喜多川の最初のアイドルグループ「ジャニーズ」となり、結成した1962年には同時にジャニーズ事務所も設立しています。
アイドルグループ「ジャニーズ」は調和のとれたダンスを組み合わせるという当時としては斬新な方式を採用することで、ある程度の成功を収めこれが後のジャニーズたちにつづくパターンを確立します。
ジャニーズにつづいたフォーリーブスで性的ハラスメントが発覚
ジャニーズは1967年に解散し、次のグループである「フォーリーブス」が1968年に結成されるのですが、このフォーリーブスで性的ハラスメントを行っていたことが1988年に発行された書籍「光GENJIへ―元フォーリーブス北公次の禁断の半生記」にて告発されました。

ジャニー喜多川から性的ハラスメントの被害に遭ったフォーリーブスの元メンバーである北 公次(きた こうじ)さんによると「ジャニーは私の勃起したペニスを口に含み、吸いながら音を立てました。彼が口と舌で私の性器をいじりながら、私が彼の口の中に射精し、彼はそれをそのまま飲み込んでしまいました…」と証言。
さらに書籍のなかで北 公次さんは「ジャニー喜多川と同棲生活を強要されていたそうで、性的ハラスメントが毎晩のように4年半続いた」と主張しています。
初代ジャニーズもつづいて告発

1989年にはフォーリーブスにつづいて、初代ジャニーズの元メンバーたちによって、「ジャニーズの逆襲」という書籍で性的ハラスメントの告発をしています。
内容としては、元フォーリーブスの北 公次さんと同じで、「舞台裏でセックスを強要された」「毎晩のように迫られた」といった内容です。
しかし、初代ジャニーズに関しては「野球チームの頃から標的にされていた」と発言。
書籍のなかで「ジャニーは野球チームのコーチで、放課後4人でよくジャニーの家に遊びに行っていました。そこではアメリカから輸入したお菓子やおもちゃ、オーディオ機器があり、子どもたちが自由に遊べるようにしていました。そして一度、中谷が一人でジャニーさんの家に遊びに行ったことがあり“これをやると気持ちいいよ”と性的ハラスメントを受けた」と話しており、他のメンバーも同様の被害に遭っていたそうです。
つまり、ジャニー喜多川はジャニーズ事務所を設立する前から少年たちに対し性的ハラスメントを行っていたということです。
ジャニー喜多川による性被害を実名で告発した人物
ジャニー喜多川による性的ハラスメントは初代ジャニーズから始まり、フォーリーブスとつづいて告発され、現在も多くの被害が明るみに出ています。
ここでは実名で性被害を告発している人物をピックアップしていきます。
岡本カウアン

おそらく、ジャニー喜多川の性被害に関して多くの人が知ることとなったのが、元ジャニーズJr.の岡本カウアンさんによる告発だと思います。
岡本さんは2014年から2018年もの間、少なくとも15〜20回は性被害を受けたと証言。行為はジャニー喜多川が所有する東京の家で行われ「彼は私の足をマッサージし始め、手が上がってきて、下着の上から性器に触れ、彼は私の下着を脱がせ、オーラルセックスを行いました。私は眠ったふりをした。次の日、一緒にエレベーターに乗っていたとき、彼は私に1万円をくれました。」と、性被害を詳細に語っています。
他にも、大勢のジャニーズJr.や、それに関連する少年たちを招待していたことを告発し、「ジャニーの家に泊まりに行った少年たちはほぼ全員が被害者だったと思う。その家に行けばジャニーから逃げられる可能性は低いでしょう。私が働いていた4年間、およそ200人の少年たちがローテーションでそこに滞在していたと思います。」とも発言しています。
そして、「なぜこれまで沈黙をしていたのか?」という質問に対し、「性的ハラスメントに我慢しなければ成功しないとはジャニーは一度も明確に言っていない。しかし、お気に入りの候補者はそれを成し遂げるでしょう…そしてデビューする機会、そしてテレビ番組で演じるか、ボーイズバンドに参加する機会があります。彼はその決断を下すだろうし、私たち全員がそれを承知していた。成功するには彼の家に招待されなければならない、招待されるためにやるべきことをすべきだと言う人さえいました。そんな感じでした。」とも発言しています。
岡本さんの証言をまとめると、デビューするにはジャニーに気に入られ、なおかつ性行為をする必要があったので、少年たちは我慢していたそうです。
橋田康(はしだ やすし)

右:岡本カウアンさん
橋田さんがジャニーズ事務所に入ったのは1998年4月の中学生1年生のときで、合格と言われていないのになぜか所属になったみたいです。
同期にはKAT‐TUNやNEWSのメンバーもいて、彼らと一緒にKinKiKids、嵐、V6などのバックダンサーを務めていました。
入所から1年ほど経った頃、コンサートの出演でホテルに宿泊し眠りについた深夜、ジャニー喜多川が許可なく部屋に入ってきたそうで、「マッサージから始まり性器をもてあそばれた」と証言しています。
翌朝、部屋にやってきた喜多川氏から1万円を渡され、そのあとジャニーズJr.の先輩に出来事を話すと「おめでとう」と言われたそうです。
大島幸広(おおしま ゆきひろ)

1998年中学2年生のときジャニーズ事務所に入所した大島さんは、初めてのダンスレッスンの日にジャニー喜多川の自宅に泊まるよう誘われたそうで、自宅マンションでお風呂に入ったあとマッサージを受けることになり、そこから性加害が始まったそうです。
さらに、13歳の大島さんにとって初めての性行為だったそうで、翌朝にはジャニー喜多川から1万円を手渡され「今日、雑誌の撮影あるから」と言われたそうです。
大島さんはお金を渡され、仕事も決まるとなると、拒否すれば仕事がなくなると思い、その後2年間で200回の性被害にあったことを告白しています。
また、ジャニー喜多川の家に向かう途中でコンビニに寄った際には「ユーはタバコ吸うの?皆吸うよ」と言い、中学生だった大島さんにタバコを買い与え「他のジュニアも皆吸っていて、ジャニーに家以外では吸うなよ」と言われていたそうです。
中村一也(なかむら かずや)

中村さんは13歳で事務所入りしたあと、2002年10月に行われた「タッキー&翼」の東京ドームコンサートに出演した夜にジャニー喜多川の家に泊まり、初めて性被害に遭ったそうです。
翌朝、当時70歳の喜多川氏から現金を渡され、これを機に事務所に行けなくなり、約半年後に退所しています。
被害を母親に伝えると「訴える」と言われたが、やはり他人に知られたくなかったので訴えをやめたそうです。
二本樹顕理(にほんぎ あきまさ)

二本樹さんは12歳のときジャニーズ事務所に入所し、同期にはジャニーズJr.の黄金世代である、生田斗真さんや嵐のメンバーなどがおり、彼らと一緒にKinKiKidsやV6などのバックダンサーを務めていました。
二本樹さんは入所から3カ月ほど過ぎた頃から性被害に遭い、「退所後も当時の行為はトラウマとして残り、自尊心を破壊された」と話しています。
また、「周りのJr.と日常的に性的ハラスメントの情報を共有していた。私よりエスカレートした行為を受けている人もおり、スタッフも気づいていた可能性が高いと思う」と明かしています。
平本淳也(ひらもと じゅんや)

平本さんは1981年にジャニーズ事務所に入所し、13歳〜18歳までジャニーズJr.として合宿所に出入りしていました。
そして、夜な夜な体をまさぐられ「恋人レベルにならないとスターになれない」「我慢すれば整理券が手に入る」と思いつつ、ジャニー喜多川による性被害を我慢していたそうで、「痛い!」と叫ぶ仲間の声を何度も聞いていたことを明かしています。
平本さんは1980年代後半からジャニー喜多川に関する性的ハラスメントを告発しており、1996年には「ジャニーズのすべて」と題した書籍を出版。自身や仲間たちがジャニーから受けた行為を世の中に訴えています。
また、BBCによるジャニー喜多川の性的ハラスメントに関するドキュメンタリー番組「J-POPの捕食者:秘めたるスキャンダル」では平本さんは企画段階から協力していたそうです。
森本龍太郎(もりもと りゅうたろう)

森本さんはHeySayJUMPの元メンバーで「小学校5年生ぐらいに、ジャニーさんの家に行って、そこで寝ちゃったんですよね。あれ?何だろうと思ってパッと起きて右見たら、1万円が置いてありました」とジャニー喜多川とのエピソードを語っています。
ただ、小学5年生での出来事なのと、具体的な内容は伏せられていたので、それが性的な行為だったのかは定かではありませんが、「1万円が置いてあった」という共通の流れがあることから、何かしらの性的行為はあったと思われます。
なお、森本さんの弟はSixTONESの森本慎太郎さんです。
現役のジャニーズたちは被害に遭っていないのか?
おそらくファンとしては、「自分が推しているメンバーは大丈夫?」と心配している人も多いと思いますが、少なくともジャニー喜多川が生きている間にデビューしているジャニーズは性的ハラスメントを受けているものと思っていいでしょう。
ここまで被害者が出ていることや、「デビューとジャニー喜多川による性行為には密接な関係があった」ということから、被害を受けていないのは考えにくいです。
ジャニーズ関係者の退所が相次ぎ今後はどうなるのか?

これまでジャニーズ事務所を牽引してきた主要メンバーの退所が相次ぎ、前社長である藤島ジュリー景子に対しては再発防止特別チームから辞任することを提言され、2023年9月7日の記者会見で正式に辞任が発表され、新社長には元少年隊の東山紀之さんが就任しました。
記者会見の内容を完結にまとめると「性加害を認める」「被害者への補償や救済の徹底」「社長は藤島ジュリー景子から東山紀之に交代」「ジャニーズという社名の変更はなし」とのことですが、一定の評価をしながらも不満を漏らす人が多いのが現状で、ジャニー喜多川と親密な関係であろう東山さんや同席していた井ノ原さんらの口から「僕たちも被害に遭っていました」ということを認めさせたい感じにも思えます。
ここは憶測ですが、東山さん自身も性被害に遭っていたことを認めさせれば、歴代ジャニーズの面々にも追求できるようになり、ビッグニュースが出来上がりますので、おそらくメディアはここを狙っているのではないかと思います。
ジャニーズ事務所から調査報告書が公表
ジャニーズ事務所はジャニー喜多川の性加害問題に関し外部専門家による再発防止特別チームを開設しており、2023年8月29日に調査報告書が公表されています。
その内容は、ジャニー喜多川による所属タレントへの性加害の事実が認められ、同族経営の弊害やずさんな管理体制、ガバナンスの脆弱性などが指摘されるだけでなく、匿名による被害者たちの証言もまとめられています。
報告書の内容を分かりやすくまとめていますので、こちら»【要約】ジャニーズ事務所が公開した調査報告書を分かりやすく解説もチェックしてみてください。