【少女らの写真あり】広島LINE殺人事件を分かりやすく解説

広島LINE殺人事件とは、2013年6月28日に広島市の専修学校に通う当時16歳の黒瀬 恵梨華さんが、少年少女を含む7名に暴行された末に殺害され、広島県呉市の山に遺棄された事件です。


起訴の内容によると、7人はワゴン車に黒瀬さんを乗せ、両脇などを固めるようにして座り、車内で顔や腹を何度も殴ったほか、たばこの火を耳穴に押し付けるなどを行ったそうです。


また、黒瀬さんのバッグから現金やキャッシュカードを見つけると「どうせ死ぬけえ、財布とかもういらんじゃろ？カードの暗証番号を言ったら許してあげるけん、はよ言えや」と脅し、現金も奪っていました。


殺害に及んだ理由は、LINEで書き込んだメッセージに当時16歳の少女Aこと野村 美輝が腹を立て、仲間ら6人と共謀して集団リンチし、最終的に「はらたったけん」という理由から、首を締めて殺害。広島県呉市の灰ヶ峰に遺棄しました。

事件の概要

黒瀬さんと主犯の野村がグループLINEで激しい喧嘩になります。腹の虫が治まらなくなった野村は、黒瀬さんに制裁を加えるため交際相手の男子や女友達などに呼びかけ、合計7人の男女を集めました。


被害者を含む8名の関係図は以下のようになります。

黒瀬さんと直接関係があるのは主犯の野村のみです。
つまり、野村以外のメンバーは面白半分で犯行に加担していたことになります。


そして、犯行に及ぶ原因となったグループLINEのやり取りは以下のようになります。

このような激しい口論があり、最終的に野村が「殺したるけぇの」と送ったのに対し、黒瀬さんが「やってみぃや」と反論したことで野村は人を集めます。


野村が集めたメンバーには、黒瀬さんと面識のない河野や荒当らがおり、この2人が「遊ぼうよ」と虚偽の発言をして、黒瀬さんを呼びだしました。


呼び出して車に乗せることに成功すると、隠れていた他のメンバーが一斉に車へ乗り込み彼女の逃げ道を塞いだそうです。


車を走らせながら海に行くか山に行くか話し合い、灰ヶ峰に向うことになります。途中で凶器になるカッターナイフを購入し、これで繰り返し黒瀬さんの腹部を刺します。


さらに、車のなかで顔や胸、足などをライターの火で焙るなどの暴行を加え、現金とキャッシュカードも奪いました。


黒瀬さんは料金所で助けを求めて「助けて！」と声をあげたが、加害者らは彼女の顔を車の壁に押し付け、タオルを口に突っ込んで喋れないようにするなどして発覚を防いだそうです。


そして、黒瀬さんが気を失うほどの暴行をつづけながら灰ヶ峰に到着し、加害者らは山中で車から降ろしました。


その際、野村の彼氏である成田が黒瀬さんの口を縛り付けていたタオルを優しく取っている様子を目撃し、嫉妬から怒りを爆発させ、軍手を装着し車外に引きずり出した黒瀬さんを殴り始めました。


このときの心境について野村は「だいすけが恵利華に優しくして腹が立った」「このままではだいすけを取られてしまうと思った」などと裁判で供述しています。


そして、他のメンバーも暴行に加わり、黒瀬さんの顔は異常なぐらい腫れ上がっていたそうです。

その後、黒瀬さんの首を絞めるなどし、最終的に野村・持田・瀬戸らが首を捻って骨を折り、成田と瀬戸が崖の斜面に黒瀬さんを投げ捨て、加害者らは現場を離れました。

なお、裁判では「頭が逆方向に向くくらい捻った」と言ったそうです。


遺体を灰ヶ峰に遺棄した野村は友人に対し「人をころしたんよ」とLINEで話しており、友人に殺害理由を問われると「わからん。腹たったけん」と送っていました。


その後、友人から「生きているかもしれない」と言われたことで、黒瀬さんの遺体が気になり、確認しに行ったそうですが、遺体は腐乱し、動物や虫に食い荒らされていて酷い状態だったため、野村は強いショック受けたそうです。


そして、母親に殺害を打ち明け、警察に自首することになりますが、自首した翌朝に逃亡を図ったそうです。


しかし、母親が通報したことにより警察に阻止され、任意で警察が取り調べを行うことになります。


この間に黒瀬さんの遺体が発見されたことで、野村は殺人と死体遺棄罪で逮捕されました。取り調べに対し当初はひとりで殺害し、遺体遺棄したと話していましたが、呉署捜査本部は当初から共犯者がいる可能性が高いとみていました。


そして、捜査本部が注目したのは、少女が友人らとやり取りしていらLINEの記録だったそうで、メッセージを片っ端から調べた結果、野村の虚偽の供述はあっけなく発覚し、犯行に加わった残りの6名も逮捕されます。

逮捕されたメンバーの詳細

主犯格：野村 美輝（写真左）

事件の主犯格である野村 美輝は広島県広島市東区に在住し、中学のときから素行が悪く、中学時代から校内で恐れられる不良でした。


スカートは下着が見えるぐら短く、髪の毛も赤や茶色に染め、授業に出ることはなく体育館裏でタバコを吸っていたそうです。


また、先生が注意しても「黙れや！」と言い返すことや、生徒を体育館裏に呼び出し、殴るなどの暴行もしていました。


他にも「万引き・ヘルメットなしで原付きの二人乗り・妹とトラブルになった相手を脅す・車を窃盗して繁華街でパトとカーチェイスして事故をおこす」など、典型的な不良少女です。


野村が16歳になるころには、インターネットで知り合ったという彼氏の成田だいすけ、友人の福井彩乃とその彼氏の持田竜也、その持田竜也の友人で仕事仲間でもある瀬戸大平の4人と、賃貸住宅を借りて共同生活を送り、「ファミリー」と称していました。

LINEやブログの内容が話題に

野村は捕まる直前に下記のLINEやブログの投稿をしています。
※文章はそのまま掲載していますので、非常に読みにくいです。

支えてくれとった皆にちゃんと
ゆっとかんといけんことがある

うち、捕まるの嫌で逃げようとした
でも、捕まって凄い動揺しとる。
けど、○○と○○ちゃんと
話して本間に決めた
今ちゃんと事情聴取もしよる
皆裏切ってごめんね

○○まっとってね
ほんまに、あいしとる
ずっと一緒ょ？」

「今日自首しにいく」
「ころしたんよ」
「殴って蹴って根性焼きしよおて気づいたらしんどった」
「（遺体は）はいがみねにあるよ」
「投げ捨てた」
「正直いつでてこれるかわからんけど、でてきてまた、あそぼーね」
「けじめつけてきます！！　ぢゃあ、いってきます」

文面から分かるように、普通の解釈ではないことは明白です。


野村は4歳のころに母親が離婚し、その後は母親と祖母に厳しく育てられ、虐待を受けることもあったそうです。


また、小学6年生のころに母親の交際相手から性的虐待を受けたともされますが、母親はその話に取り合わず、こうした生い立ちがその後の非行につながったとも言われています。


最終的に2015年に懲役13年が確定し、現在も服役中です。

成田 だいすけ

成田だいすけは当時16歳で、主犯である野村の交際相手です。2人はインターネットで知り合い交際を始めたと見られ、面白半分で殺人に加担した異常な精神性の持ち主です。


熊本県荒尾市在住と報じられていますが、事件時には広島市で野村美輝、福井彩乃、持田竜也、瀬戸大平ら「ファミリー」と共同生活を送っていました。


積極的に犯行に加担したとされ、2015年に懲役10年の判決が確定しています。

福井 彩乃

福井彩乃は野村の友人で、直接関係ないのに率先して黒瀬さんに暴行加えていました。


福井は親と喧嘩になって学校を中退し家出し、警察沙汰を起こしたことで親に勘当されたあと、親から育児放棄を受けたと主張して生活保護を受給。


その金を受け取りながら、年齢を偽って水商売系の仕事をし、広島市内に賃貸住宅を借りていました。この福井が借りていた住宅が「ファミリー」の共同生活の場になっていました。


2013年に中等少年院送致が決定し、広島家裁は3年程度の長期間の指導を勧告しています。

持田 竜也

福井の交際相手が持田竜也です。鳥取県米子市在住と報じられていますが、「ファミリー」の一員として広島市の福井の家に転がり込んでいました。


広島LINE事件の他にも無免許でありながらトラックを運転したり、瀬戸と一緒に強盗致傷事件を起こすなど、日頃から素行が悪かったそうです。


広島LINE殺人事件では黒瀬さんの首をへし折ったのは持田との供述が、他の犯人達からされています。


2013年に中等少年院送致が決定し、広島家裁は「相当程度の長期間の処遇・指導をすべき」として4年程度の長期間の指導を勧告しています。

瀬戸 大平

広島LINE殺人事件で車の運転役を務めたのが瀬戸大平です。鳥取県湯梨浜町在住と報じられていますが、同じく「ファミリー」の一員として広島市内で共同生活を送っていました。


しかし、ファミリーというよりも「瀬戸タクシー」などと揶揄され、足代わりに使われていたようで、野村のパシリ的な存在だったそうです。


また、広島LINE殺人事件の最中に、持田と共謀した別件の強盗致傷事件が発覚し、8月28日に再逮捕されています。


最終的に、2014年広島地裁から懲役14年の判決が確定しています。

河野 那奈・荒当 葉月

河野 那奈と荒当 葉月は、広島県安芸郡と呉市に在住しており当時16歳で、黒瀬さんの呼び出し役を担当した少女です。車内での暴行に加わり、黒瀬さんから奪った現金もそれぞれ受け取っています。


ただし、車外での激しい暴行には積極的に関わったわけではなく、本人たち曰く「興味本位で犯行に加わった」「激しい暴行や殺害行為には加わっておらず、関与の程度は相対的に低い。矯正可能性は十分ある」ということで、2013年に中等少年院送致が決定しました。


なお、この2人は黒瀬さんと直接的な関係はなく、ただのチャット仲間だったそうです。

広島LINE殺人事件でたびたび登場するファミリーとは？

この事件ではたびたび「ファミリー」という言葉が出てきます。


ファミリーとは野村、成田、福井、持田の4人が福井の家で共同生活を送っていたことから、自分たちのことをファミリーと称していました。


また、共同生活では売春ビジネスもしており、その中心人物が野村だったそうです。
売春は複数人で行っていたそうで、月100万近く稼いでいたと証言しています。


そして、売春ビジネスを円滑に進めるためのアッシーとして瀬戸が加わったと言われています。なので、瀬戸はあくまで足代わりで、ファミリーとは言えない存在だったと思われます。

被害者の黒瀬さんも売春メンバーだった

この事件は、LINEの口論が原因で殺害に及んだと思われがちですが、実は黒瀬さんも売春メンバーで、以前から中野と金銭的なトラブルがたびたびありました。

うちゎえんデリをした
断りきれんくて一回やった
気持ち悪いし
後に残るのゎ
罪悪感　虚しさ　後悔…
うちゎすぐに
そのヤクザから飛んだ

この内容は、黒瀬さんが投稿していたブログで、元締めである野村に内緒で援助交際をしたことがバレ、野村に「マージンをよこせ」と言われたが、断ったことでトラブルになっていたそうです。

金銭トラブルと恋愛のもつれが殺害の原因か？

また、野村の彼氏である成田と三角関係になっていたとも言われており、恋愛のもつれも影響したようです。


供述でも以下の発言をしています。

野村：だいすけがえりかに優しくしていたのを見ていたんで、その言葉にすごく腹が立ちました。そこで「横になれや！」と言い、ナイフを手に取りました。

野村：「首を絞めたあと、だいすけに「かわって！」と言いました。

裁判官：なんでだいすけにかわろうとしたんでしょう？

野村：だいすけが暴力を振るったら、私を選ぶってこと。えりかをかばったら、それがえりかのことが好きだからだと思ったからです。

以上のことから、そもそも黒瀬さんは野村と一緒に売春をしており、その過程で金銭的なトラブルがあったことや、成田と黒瀬さんの関係に嫉妬したことが殺害に及んだ理由になるかと思います。