オウム真理教とは?麻原彰晃を首謀者とした3大事件を分かりやすく解説

オウム真理教とは?麻原彰晃を首謀者とした3大事件を分かりやすく解説
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オウム真理教は、かつて日本で活動していた宗教団体で、1987年に「麻原彰晃(あさはらしょうこう)(本名・松本智津夫:まつもと ちづお)」によって創設されました。


初期の目的は、人々を救済し、世界をより良い場所にすることでしたが、後に独自の教義や信仰体系を築き上げていきました。


彼らは麻原彰晃を「最高指導者」として崇拝し、異端的な教義や宗教的な信仰体系を持って、彼の言葉を絶対的な真理と信じていました。


オウム真理教は急速に信者を増やし、その勢力は1980年代から1990年代にかけて拡大し、最盛期で日本15,000人・ ロシア35,000人のカルト宗教団体になります。


彼らは、自己啓発セミナーや出版活動、医療活動などを通じて社会的な影響力を持つだけではなく、化学兵器や生物兵器の製造にも関与していたことが明らかになっています。


そして、1995年に東京都内の地下鉄でオウム真理教の信者がサリンという神経ガスを散布し、多数の人々が死傷するという事件が発生し、オウム真理教の正体が明るみに出ました。


この事件を契機に、オウム真理教は指導者の逮捕や信者の逮捕・起訴、団体の解体などを経て、その勢力を失うことになります。


現在、オウム真理教は解体されており、麻原彰晃を含む幹部は死刑判決を受け、一部の信者は刑務所に収監されていますが、日本社会において非常に衝撃的な事件を引き起こしたため、その存在は現在でも記憶されており、日本の宗教や社会における問題点や課題を考えるうえで重要な事例となっています。

オウム真理教が起こした3大事件

オウム真理教が起こしたもののなかに、最も注目された事件が3つあります。

  1. 教団と対立する弁護士とその家族を殺害した「坂本堤弁護士一家殺害事件」
  2. 教団松本支部立ち退きを求める訴訟を担当する判事の殺害を目的として計7人の死者と数百人の負傷者を出した「松本サリン事件」
  3. 教団への捜査のかく乱と首都圏の混乱を目的に計14人の死者と数千人の負傷者を出した「地下鉄サリン事件」

これらの事件は、オウム真理教が起こした事件のなかでも特に注目を浴び、「オウム3大事件」とも言われています。

坂本堤弁護士一家殺害事件を分かりやすく解説

坂本堤弁護士一家殺害事件は、1989年11月4日にオウム真理教の幹部6人が、オウム真理教問題に取り組んでいた弁護士坂本堤(当時33歳)とその妻子合わせて3人を殺害した事件です。

坂本一家が狙われた理由

この計画の動機は、「坂本弁護士がオウム真理教の発展に障害となる存在」だと考えられたことが、殺害の理由になっています。


坂本堤弁護士はオウム真理教について批判的な発言をしており、彼はインタビューでオウム真理教を批判し、信者の家族の苦しみが無視されていると述べました。


その後、麻原彰晃はオウム真理教の幹部に「坂本弁護士を殺せ」と指示し、彼らは塩化カリウムを使用して坂本を殺害する準備をしました。


実行犯たちは在家信徒の弁護士から住所を聞き出し、車に分乗して坂本堤弁護士のもとに向かい、塩化カリウムを使って殺害しました。

関係ない妻や子供も被害に

殺害時の様子は以下のようになっています。

  • 坂本堤:端本に馬乗りされ、顎を6、7回殴られたあと、岡﨑に首、早川に足を押さえられた。中川から尻に塩化カリウムを打たれたが、効果がなく、数回やり直したが針が曲がり、その後窒息死
  • 坂本の妻:新実に馬乗りされる、上半身を蹴られるなどの暴行を受け、端本に腹を蹴り飛ばされ、膝落としをされた後、村井、早川、中川に首を絞められる。中川から塩化カリウムも打たれた。「子どもだけは」と命乞いをしたり、村井の指を噛んだりと抵抗したが、窒息死。
  • 坂本の長男(1歳):泣き出したため、中川と新実に鼻口を押さえつけられ、窒息死。検察側は顔と腹を殴られたとしているが、弁護側は否定しているそう。

その後、1995年になって、新潟県で坂本弁護士、富山県で妻の都子さん、長野県で長男の龍彦ちゃんの遺体がそれぞれ埋められているのが見つかりました。


そして、犯行に及んだ加害者たちに対し麻原は「よくやった、ごくろう」と上機嫌に述べたそうです。


なお、塩化カリウムは血液中のカリウムが高濃度になると心不全になることから、動物に対する安楽死などの目的で心停止液としても利用されることや、アメリカ合衆国では薬物による死刑執行時に使用する薬物です。

松本サリン事件を分かりやすく解説

松本サリン事件とは、1994年6月27日オウム真理教によって長野県松本市で毒物が使用された事件で、オウム真理教の信者たちが神経ガスのサリンを撒き散らし、8人もの人々が命を落しました。


この事件は、戦争状態ではない国で化学兵器クラスの毒物であるサリンが一般市民に対して無差別に使用された世界初の事例でもあります。

事件に至る経緯

オウム真理教は、長野県松本市に団体施設の新規建設を計画したのですが、反対運動が起こり、民事裁判が行われました。


その結果、団体に不利な判決が出る可能性があったことから、麻原は敵対視していた裁判官及び周辺住民を殺害するために、裁判所職員宿舎にサリンを散布することを指示したそうです。

地下鉄サリン事件を分かりやすく解説

地下鉄サリン事件とは、1995年3月20日、東京でオウム真理教のメンバーによって実行された国内テロ事件で、14人が死亡、負傷者数は約6,300人とされています。


東京の地下鉄を攻撃することを計画し、警察からのオウム真理教への捜査を妨害し、彼らが信じる黙示録を引き起こすことを目的とし、最終的には第三次世界大戦を引き起こしたいとも考えていました。


麻原彰晃を指導者とするオウム真理教は、この事件の前にも松本サリン事件を含む数件の暗殺とテロ攻撃を実行しており、VXを含む他の数種類の神経ガスを製造していました。


また、彼らはボツリヌス毒素の製造を試み、数件のバイオテロ未遂事件も行っていました。


事件後の家宅捜索により、警察は多数のオウム真理教の幹部を逮捕し、その後200人以上のメンバーが逮捕され、麻原も含めて13人のオウム真理教の幹部が死刑判決を受けました。


この事件は、現代の基準で定義される日本で最も致命的なテロ事件の一つとなっています。

最も混雑する時間を狙って実行

1995年3月20日の月曜日、オウム真理教のメンバー5人が、通勤ラッシュを狙って東京の地下鉄に化学攻撃を仕掛けました。


この攻撃で使用された化学物質サリンは、新聞紙で包んだプラスチックの袋に入れ、各犯人は合計約0.9リットルのサリンを2つのパケットに入れて持ち歩きました。


サリンの入った袋と鋭い先のついた傘を持った犯人たちは、予め指定された電車に乗り、決められた駅でサリンが入った袋を傘の鋭い先で何度も突き刺し、床に置いたまま電車から降り、駅を出て共犯者と車で合流しました。


突き刺された袋が床に置かれたことで、サリンが電車の中や駅に漏れ出し、乗客や地下鉄の作業員、それらと接触した人々に影響が及びました。


サリンは神経ガスの中でも最も揮発性が高く、液体から気体に迅速かつ容易に蒸発し、環境中に広がる特徴があります。


サリンの気体にさらされると、液体形態のサリンに直接接触しなくても被曝する可能性があり、即時的ながらも短時間の脅威となります。

地下鉄サリン事件をキッカケに逮捕される

麻原彰晃を指導者とするオウム真理教は、この事件の前にも松本サリン事件を含む数件の暗殺とテロ攻撃を実行しており、VXを含む数種類の神経ガスを製造していました。


また、彼らはボツリヌス毒素の製造を試み、数件のバイオテロ未遂事件も行っていました。


そして、家宅捜索により、警察は多数のオウム真理教の幹部を逮捕し、その後200人以上のメンバーが逮捕され、麻原も含めて13人のオウム真理教の幹部が死刑判決を受けました。


この事件は、現代の基準で定義される日本で最も致命的なテロ事件の一つとなっています。

死刑となったオウム真理教のメンバー

一連の事件で、2005年から11年までの間に、計13人の死刑が確定し、ひとつの組織が起こした事件としては戦後最多になります。


ここでは、一連の事件に深く関与し、死刑となったオウム真理教のメンバー13人をご紹介します。

麻原彰晃(本名:松本 智津夫)

麻原彰晃(あさはらしょうこう)(本名:松本智津夫:まつもと ちづお)は、オウム真理教の教祖です。


彼は宗教的に殺人を肯定し、信者を利用して国家転覆を目指す一連のオウム事件を引き起こし、1995年に地下鉄サリン事件の首謀者として逮捕されました。


2006年に死刑が確定し、2018年に死刑が執行されました。検察は彼を「わが国犯罪史上、最も凶悪な犯罪者」と評価しています。

死刑が執行された他12人のメンバー

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オウム真理教の死刑囚となったメンバー
オウム真理教の死刑囚となったメンバー
オウム真理教の死刑囚となったメンバー
オウム真理教の死刑囚となったメンバー

最終的に、オウム真理教のメンバーで起訴されたのは合計で192人で、そのうち死刑が確定したのが上記の13人です。


そして、2018年1月にオウム真理教に関する全ての刑事裁判が終了しました。

オウム真理教はその後、複数のグループとなって活動中!?

オウム真理教は、現在でもいくつかのグループが活動しています。


最も広く知られているのは「アレフ」と呼ばれるグループであり、彼らは麻原彰晃に絶対的な信仰を持っています。


また、「山田らの集団」という別のグループも存在し、彼らも麻原の影響力を強調していますが、「ひかりの輪」と呼ばれる上祐派は、麻原の影響力を払拭したかのように装っています。


主流派では、松本智津夫に対する死刑執行後も、信者の不安を和らげるために、彼が依然として絶対的な存在であることを強調し、彼の教えに基づいた運営を継続しているようです。


一方、上祐派は、社会の注目が集まる中で、報道機関の取材を通じて、教団が関与した一連の事件の被害者に対する補償や再発防止に積極的に取り組むことを強調しています。

勧誘のターゲットは事件を知らない若者

勧誘は、麻原彰晃が起こした事件を知らない若者たちをターゲットに、街頭や書店での声掛け、SNSや友人等を通じ、宗教やヨーガ等に興味を持つ者に接近します。


そして、教団名を秘したまま、数回にわたり宗教やヨーガ等を講義を行い、関心や悩みを聞き出し、相談を受けつつ人間関係を構築したあと入信するよう促しているようです。


最終的に、教団による一連の事件は国家ぐるみの陰謀と説明し、麻原彰晃の偉大性などを徹底的に教え込み、教団に対する抵抗感がないことを確認したうえで教団名を告知し、入信させているようです。


2023年でも、「話を聞いて、調べたらオウム真理教の関係者だった」と、ユーチューブで告発した人もいるぐらい、未だに活動はつづいています。

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